
先日、一般社団法人日本金型工業会 西部支部さまのお招きで、「製造業の利益を守るAIエージェント実践」というテーマで90分講演してきました。
私たちは、自社の業務を徹底的にAIネイティブに置き換えることにこだわって事業を運営してきました。その結果、利益率は銀行の担当者や他業界の経営者の方に驚かれる水準を維持できています。この成果をお客様の現場でも実現したいと日々当たり前に思っています。
製造業でAIネイティブをどう作るか
しかし、我々のような業界では、コミュニケーションから書類やら何やら、オンライン上で完結することが多いためにそういう恩恵を受けています。製造業の場合はどうでしょうか。アウトカムはモノであるし、紙のデータも多いし、クラウドに上げることがそもそもメーカーから禁止されていることも多いです。そういった場合にどうAIネイティブなオペレーションを作っていくべきでしょうか。
展示会などの様子を見ていても、LLMをはじめとしたAI技術の猛威によって、最近は風向きが変わっていて、メーカーもクラウド運用を前提にすることが増えたように思います。しかし、今までそれで回っていたオペレーションをガラッと変えることは難しいです。
だから講演では、ツールの紹介ではなく、「会社固有の知恵と情報を、AIが使える形でどう持つか」という情報設計の話を中心に据えました。
ClaudeとCodexを使った実演
- 図面と客先メールから、自社の見積もり基準を参照して見積もりの土台を作る実演
- 「この加工なら、この協力先」——ベテランの頭の中にある判断基準を、日々の作業記録から取り出してAIに渡す方法
講演中には積極的に質問してくださったり、アンケートを集計しても「うちで試せるところからやってみたい」というような声が多かったのは大変嬉しかったです。
成果を分けるのは、会社の知恵の持ち方
AIに関していうと、サイレントナーフがあったりやや不安定なところがあるとはいえ、フロンティアモデルの性能はおそらく普段の業務を回すには十分すぎるほどでしょう。その証左としてトップランナーたちはハーネスなどを作って、トークンを極限に節約したローコストでいかにエージェントループを作るかに躍起になっています。能力がボトルネックでなくなった以上、成果を分けるのは「会社の知恵を、AIが使える形で持っているか」。そしてここだけは、外から買えず、自社で積み上げるしかありません。
貴重な機会をくださった西部支部の皆さま、そして90分にわたる講演を前のめりになって聞いてくださったオーディエンスの皆さま、ありがとうございました。
製造業に限らず、「うちの会社の固有の情報アセットはどこにあるだろう?」と考えるきっかけになれば嬉しいです。